茨城寺社巡礼    038

解脱寺(つくば市) 制作:(一財)茨城県郷土文化振興財団


 宝篋山を借景に大師堂、十九夜堂などがある




開基は那珂市瓜連常福寺の五世弁参(誉)上人
 

 
かつては賑わった三夜尊

□応永五年の創建
 勢至山一心院解脱寺は、つくば市小田にある浄土宗の寺で、関東鉄道バス、小田今宿で下車します。創建は応永五(一三七二)年で小田橋にあり、前島山一心院解脱寺と言っていました。開基は那珂市瓜連常福寺の五世弁参(誉)上人で、小田城主の小田讃岐守孝朝の寄進がありました。その後、戦乱により焼失、天正年間(一五七三~九二)団参(誉)上人によって再建されました。
 小田氏の後、佐竹氏の寺領となり、九世舜誉上人の元和元(一六一五)年には、星宮大権現と妙見菩薩を安置し、十世の時代に朱印五石を受けています。妙見菩薩は北斗寺の時、お話しましたが、暦や天文神として祀られています。
 十三世乗誉上人の代には、梵鐘が鋳造され、元禄九(一六九六)年の銘がありましたが、昭和十八(一九四三)年、世界第二次大戦の時、供出させられました。

三夜尊の信仰で賑わう
 文化六(一八〇九)年、十五世法誉上人の時に二十三夜堂を建立し、佐竹三河守義忠寄進の勢至菩薩を本尊にしました。勢至菩薩は大いに勢力を得たという「マハースターマブラーブタ」を漢訳して大勢至、得大勢、大精進菩薩などともいいます。阿弥陀三尊の一つで、向かって左が勢至、右が観音で、勢至は阿弥陀の持つ知恵を伝達します。
 この勢至菩薩は、民間では五穀豊穣、商売繁盛、小遣いに不自由しないなどの御利益があるとされています。一般に三夜尊といわれ、かつては、近郷近在から多くの人が集まり、賑わいました。二十三夜堂の脇には御行屋があり、毎月二十三日の縁日にはお風呂をわかし、病難除けのため、皆が入りました。この御行屋は社交の場として、憩いの場となっていました。旧七月二十三日は、万灯といい、境内、墓地は蝋燭で埋まりました。

古本屋にあった過去帳
 本堂の創建は享保年中(一七一六~三六)で昭和二(一九二七)年など度々、修理してきました。庫裏の改築は昭和三十四(一九五九)年に行っています。
 本尊は阿弥陀如来像で市の文化財に指定されています。手ははめ込み式で、木目もはっきりしていて、重量感があります。もう一体、阿弥陀如来坐像があり恵心作と言われています。両大師、地蔵菩薩像も木造です。
 十四世の頃、古い過去帳が寺より紛失したようです。この話は旧聞ですが、檀家のSさんの家に十世のまとめた過去帳が保管されています。この過去帳は東京の古本屋か古物屋にあったのを、買い求めたものだそうです。
 建物としては、ほかに大師堂、十九夜堂があります。寺宝としては「三尊来迎図」「十王絵軸十幅」「刺繍麒麟絵」などがあります。
 寺の行事としては、四月八日の潅仏会、八月二十三日の施餓鬼会、十二月二十五日の浄梵会があります。


東福寺(つくば市)(037)    NEXT工事中