茨城寺社巡礼     007
六地蔵寺(水戸市) 巡礼者 今瀬 文也

地蔵菩薩本尊
         しだれ桜・安産・文化財の名刹

 六地蔵寺は大同二(八〇二)年の開山といわれ、永享元(一四二九)年、宥覚(ゆうかく)が再興した。本寺は真言宗安祥寺流系六地蔵法流の本山で末寺十七カ寺をもち、大掾(だいじょう)、佐竹、徳川の各領主から手厚い保護を受けていた。倶胝山聖寶院と号す。

 代々の住職のうちで、室町時代後期の恵範(えはん)は西国の諸大寺に学び、たくさんの聖経・論疏ろんしょの書写に努めた学僧として知られる。この恵範の時代から六地蔵寺は学僧修行僧の壇林所として、多くの名僧を輩出している。

 六地蔵寺には数多くの文化財があるが、特に恵範が中心の「六地蔵寺典籍・文書」(典籍八九二・文書四〇七)は真言宗に関する書物として貴重で、徳川光圀は土蔵を建てて保護した。
 絹本着色の両界曼荼羅は室町時代前期の作。宥覚から代々弟子に伝えられたもので金剛界(こんごうかい)、胎蔵界(たいぞうかい)が描かれている。そのほか、絹本着色の弘法大師像、真言八祖像、十二天立像、十三仏、釈迦十六善神など仏画も多い。

 工芸品としては灌頂用具(かんじょうようぐ)、密教法具、戒体箱かいたいばこ、説相箱などをはじめ、山伏笈、漆塗経櫃(きょうびつ)がある。

 四脚門は二本の本柱の前後に控え柱を立てた、簡素な造りに特徴がある。室町時代末期の様式がよく表れている県指定文化財である。
 境内のしだれ桜は光圀も賞賛したというからかなりの老木だが、今でも四月には美しい花を咲かせる。御利益は高く、安産のためには、妊娠五ケ月の戌の日に腹帯とお札を受けると安産間違いなしといわれ、「安産の岩くぐり」もある。

 六地蔵寺の地蔵は六体のはずなのに七地蔵安置されている。昔中国の径山寺が火災に合い、一体の地蔵が火消しに行って、五体になったので、檀家が一体を寄進したところ、前の一体が戻って七体になったという。一時不明だった「神皇正統記」が見つかり県指定文化財になり、出版されている。

縁日に行われる護摩供養

         

徳川光圀が建てた土蔵




 毎月24日の縁日には多くの人が訪れる
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