茨城寺社巡礼     003
愛染院(潮来市) 巡礼者 今瀬 文也

本尊は不動木造如意輪観世音菩薩像付胎内仏の名で県指定文化財

北浦を見下ろす「水原の観音様」


 潮来市水原にある真言宗豊山派の寺で東雲山愛染院根本寺といい、地元では「水原の観音様」と呼んでいる。
 そのいわれは、本尊が二体の如意輪観音菩薩だからである。一体は、像高五・五㌢で、弘仁元(八一〇)年に弘法大師が彫刻したと縁起に見られる。
 伝説で、この観音像は歴代天皇の守護仏であったが、天喜元(一〇五四)年に冷泉天皇から八幡太郎義家に武運の守護仏として贈られたという。
 義家はそれを携えて一軍を率い、奥羽征討のおり、水原の里から鹿島の里に渡ろうとしたが、北浦付近の大風のため、どうしても渡れなかった。ある夜、不思議な夢を見、観音像を安置し、七日七夜の水行で身を清めた。その効き目があり、鹿島に渡った。そのおり、水原に草庵を結んだと伝説にある。
 この観音像は本尊の胎内仏で木造如意輪観世音菩薩像付胎内仏の名で県指定文化財になっている。本尊は像高五十九・四㌢の如意輪観世音坐像でヒノキ材の寄せ木造り、室町時代末の作だが、伝承では定朝の作とある。なお県指定文化財として、八角釣燈籠がある。
 元禄七(一六九四)年十月、再建にとりかかったが、住職が亡くなり、宥範によって本堂、楼門、庫裏、客殿、不動堂を建立した。宝永元(一七〇四)年には再建を祝って、麻生藩主新荘直隆から愛染明王の寄進を受け、祈願所になった。
 三間造りの観音堂、二階建ての楼門は同じ享保時代の建立で、市指定文化財である。そのほか、不動明王画像(江戸時代前期)、釈迦涅槃図(江戸時代初期)、灰像弁財天、書跡般若経文、絵馬(馬の絵・天明八年)が市の文化財に指定されている。
 なお、境内には、安永元(一七七二)年に西国三十三観音を移した観音堂があり、一月十七日と七月十七日は観音さんの大縁日で、安産、子育てを祈願している。

 
山門の二階は鐘撞堂



 七福神の彫刻

                

潮来市文化財指定の金剛愛染明王

 
ここから、北浦が眺望できる
清安山願成寺不動院(002)   護国院 (鹿嶋市) (004)