徳一が歩く        朝日観音堂(88)                               
                                                 (財)茨城県郷土文化振興財団



観音堂


右側に観音堂、地蔵堂、左側には鳥居と稲荷神社がある

     本尊は如意輪観音で姉観音という
 「朝日山ちかひは同じ観世音 かたじけなくもかけまくのうち」と、寺博士がいつものように迎えに来ました。これは、磐城三十三観音霊場第二十二番札所朝日観音堂の御詠歌です。
 「今日もいわき市の観音札所を歩きます」
 「私は健脚ですから、どこへでもどうぞ」
 私は大同元年(806)、磐城を布教していたそうです。そして石森山のカヤの大木に魅せられ、その木で、二体の仏像を彫ったといいます。試作として如意輪観音像を彫り、続いて千手観音像を彫ったそうです。
 「徳一さんは彫刻家としても有名ですが」と寺博士が言っていますが、私は覚えていません。寺博士は私のことを誉めているのでしょう。千手観音像は石森山に移り、如意輪観音が朝日観音の本尊で、姉観音と言うそうです。私のことはこれだけなので、後のことは、寺博士が調べました。明治初年までは、朝日観音堂の別当は朝日山照明院清浄寺でしたが、明治初年の廃仏毀釈でなくなったそうです。この寺は呼幸上法印が永禄三年(1560)に中興したといわれています。その頃までは神仏混淆で、神社と仏堂が同じ敷地内にありました。
 その名残として、右側に観音堂、地蔵堂、左側には鳥居と稲荷神社があります。
 境内にはいわき市指定天然記念物のヒイラギがあります。樹高八・二m、幹囲一・八mです。ヒイラギは暖温帯の常緑広葉樹で自生の北限といわれ、この地域でこのように大木になるのは珍しいといいます。かなりの老木になっているので、トゲ状の鋸歯はありません。この付近は空気もきれいです。
 磐城三十三観音霊場のうち、私と関係のある札所は十七あります。札所が決められたのはずっと後になってかですが、私と関係が深いこれらのお堂を回ることに感動しながら、寺博士と巡っています。
  
【メモ】
 朝日観音堂
 磐城三十三観音霊場第二十二番札所
 本尊 如意輪観音像
 いわき市平幕の内字手倉三二
 監理者 区長


地蔵堂


いわき市指定天然記念物のヒイラギ


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