徳一が歩く        泉観音堂 (83)                                  
                                                 (財)茨城県郷土文化振興財団



薬師堂内部


境内には不動堂、薬師堂、足尾神社がみられる
     御本尊は泉長者の守護仏であった
 福島第一原発の事故によって放射線量が高く道路の通行が禁止されていて、今まで相馬へ行くことが出来ませんでした。開通したというので、南相馬市原町区の閼伽井山東光院の泉観音堂へ向かいました。
 「徳一さん、今日は、福島の相馬へ行きます。昔歩いた所です」
 「一二〇〇年前は、静かな所だったのでしょうね。早く行き、震災で亡くなった方々の冥福を祈ります」
 泉観音堂は、真言宗の寺です。入口には赤い鳥居、狛犬があり。まさに神社だと思っていましたら、左側に撫で仏のビンズル像がありました。大きな筆があり、それで、痛い場所を撫でると治ります。寺博士は足と頭に触れました。
 その奥に観音堂があります。境内には不動堂、薬師堂、足尾神社がみられました。御本尊は十一面観音立像で、泉長者の守護仏であったとか、、大同二年(八〇二)、坂上田村麻呂が東征の時、戦勝祈願して私に授けたといいます。泉長者は紀州からこの地に移り、住んでいましたが、牛がいなくなり探し歩いているうちに水を飲んで酔っている牛を見つけ、自分も飲んでみると良酒で、その酒を売って長者になったが、義経に軍用金を出さなかったので弁慶に滅ぼされたといいます。
 本尊の十一面観音立像は県文化財で、像高一六〇センチ、寄木造りです。制作年は修理の際、体内に弘安六年(一二八三)の銘があり、鎌倉後期の作と判明しました。
 大正十二年(一九二三)には贋作の仏像と置き換えられたとか、その後、無事に戻り、その贋作を本尊不在の時、留守居観音と呼んでいるそうです。本堂には、相馬中村五代藩主寄進の千体仏が安置されています。
 なお、観音堂は奥相三十三観音第十番札所で、「渡すべき誓ひの舟に法を得て千尋の波もいとはじ」が御詠歌で、寺博士は、適当に節をつけて歌っていました。
 
【メモ】
 泉観音堂
 閼伽井山東光院
 真言宗豊山派
 南相馬市原町区寺前一四五二
 電話 0244(二三)二三五七
 監理寺 新田山泉龍寺
 観音縁日例祭一月二十日
 夏の縁日 七月不定
 大般若経転読会 期日不定


撫で仏のビンズル像


留守居観音


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