徳一が歩く   日吉観音 磐城三十三所観音霊場第二十一番札所(80)                                  
                                                 (財)茨城県郷土文化振興財団





    三十三観音を制覇して御利益を得る 
 寺博士が観音霊場の由来を話してくれました。観音霊場は西国三十三所観音霊場がはじまりです。江戸時代に坂東三十三観音、秩父三十四観音が出来、合わせて百観音巡りとなりました。これがさらに発展、地域を対象にした霊場が生まれました。
 この磐城三十三所観音霊場もその一つですが、山間の札所が多く、これを制覇することにより、御利益を得たのでしょう。
 日吉観音は第二十一番札所で、平大室字白土大運寺の境内にあり、地区が管理しています。この日吉観音の千手観音像を私が彫刻したと伝承されています。かつては日吉寺といい、高室山にあったそうです。明治十年(1877)頃、値域の信者が集まって、浄土宗直報山清浄院大運寺の境内に移りました。
 高室山の跡地から古井戸・土台石、石臼・茶碗・水瓶・皿などが発掘されているそうです。そこが寺跡だったそうです。
 「徳一さんは不思議なほど歩けたのですから、人間というよりは、羽の生えた天狗だったのでしょう」と、寺博士は喜んでいます。
本当に私も歩きながら考えてみました。法相宗は日本の仏教の大元を造り、天台・真言に後をお願いし、さらに浄土宗・禅宗がそれを受け継いで、私の名を残してくれたことは有難いものです。
 縁日は一月十七日と盆の月の九日で、露天商が出て賑わうそうです。観音堂の前には老木のシダレザクラがあります。春はさぞかしきれいでしょう。
 「来年はサクラ観に参りましょう」と寺博士は言ってくれました。住職さんには会いませんでしたが、娘さんに会い、私のことを尋ねていましたが、分からないようでした。
 日よしとて 旅立つ道の 今が世や
   なにとてこれに さわりあるべき
 これが日吉観音の御詠歌です。私も大きな声で詠い多くの人の安らぎを祈りました。
  
【メモ】
日吉観音
磐城三十三所観音霊場第二十一番札所
本尊 千手観音菩薩像
住所 いわき市大室字白土八九
別当 浄土宗清浄院大運寺境内
電話 0246(23)1795








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