徳一が歩く   観音寺(60)                                    (財)茨城県郷土文化振興財団


本堂

山門
      本尊の開帳は60年に一度
 今回、初めて栃木県に来ました。寺博士は都合悪く「たまには、1200年前に戻って一人旅もいいものですよ」と言われました。
 栃木県矢板市長井の寺山観音寺ですが、これは通称で、与楽山大悲心院観音寺が正式な名称です。私はこの寺に記憶がないので、縁起からお話しします。
 最初、高原山(釈迦ケ岳1795m)の一つの峰・剣ヶ岳(1540m)に行基が法楽時寺を神亀元年(724)に建てたのが始まりで、聖武天皇の勅願によったそうです。
 その後、延暦22年(803)雷火で、観音堂と本尊を残して焼失しました。ここで私の登場で、大同元年(606)年に、本尊を現在の地に移し、七堂伽藍を建て、寺山観音寺としたそうです。
 本尊は101・6センチの千手観世音菩薩坐像で観音・勢至両菩薩と国の重要文化財に指定されています。下野三十三観音霊場になっています。なお、本尊の開帳は60年に一度、申子の旧暦9月10日から7日間だそうです。大正13年(1924)、昭和6年(1984)に開帳されました。本尊はいつでも身近で拝めたほうがよいのですが残念です。
 私の去った後は、法橋行椽が荒れ果てた観音堂を修造。中興したと縁起にあります。なお木造の行椽像都坐像があり、その胎内の墨書には、「正治元年(1199)己末十月十八日始之、正治二年唐申十一十七日修理之也」とあるそうです。
 文化財の多い寺で、鉋彫木造毘沙門天立像木造不道明王立像は本尊と同じく、鎌倉時代の作で国の文化財です。又、栃木県文化財として木造二十八部衆立像・銅造大日如来坐像・銅像千手観音坐像・木造風神・雷神像があります。天然記念物イチョウは樹齢350年です。
 楼門、本堂など、静かな自然の中に石仏もたくさん建ち、その歴史を伝えています。
 



 
 【メモ】
 与楽山大悲心院観音寺
 真言宗智山派
 本尊 千手観音菩薩坐像
 住所 〒329-2514 栃木県矢板市長井1875
 電話 0287-44-1447

   


観音堂


自然の中に石仏もたくさん建つ


 

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