
二階造りの山門。無住で寂しげな佇まい

仏殿にある扁額
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筑波から来て開山後540年の空白
私は元気です。1200年前は皆、幸福を願って私を迎えてくれたのでしょう。今、昔を懐かしく思いながら歩いています。いわき市の常磐白鳥町にいます。白鳥が飛んで来たのでしょうね。山号も白鳥山です。私の僧侶姿が珍しいようです。
龍勝寺は、現在、臨済宗妙心寺派ですが兼務寺で、住職には会えませんでした。縁起には「大同二年(807)頃、恵美押勝(藤原仲麻呂)の孫の草刈麻呂が開基となり、常陸国筑波山から、僧徳一を開山として迎えている」とあります。
私は筑波山から、呼ばれてここへ来たのです。だけど、それ以後のことは分かりません。私は寺の建立の話だけして、立ち去ることが多かったのでしょうか。ここでも寺博士から縁起を教えてもらいました。禅宗の寺なので、茶を一服御馳走になりたくなりました。
観応元年(1350)からは分かっています。上湯長谷の烏館主の二階堂又五郎が、堂宇の再建をしたそうです。その時、建長寺38世の古先印元(こせんいんげん)和尚を迎えて、中興開山したといいます。その間、540年はどうだったのか興味があります。元禄15年(1702)には京都妙心寺の中本寺でしたが、明治3年(1870)直末となったといいます。
私は歩いていますが、面影は何もありません。参道から二階造りの山門を進むと、急勾配の屋根の仏殿がありました。内陣に大きな厨子(ずし)が安置されていて、この中に像高76㌢の阿弥陀如来坐像と脇侍(わきじ)の観音・勢至両菩薩立像が安置されています。この阿弥陀如来像には胎内仏が収められています。この仏殿は明治42年(1909)の建立ですから、比較的新しいものです。
記録としては、延享元年(1744)、妙心賜紫江府曹渓清梁州撰の「白鳥山龍勝禅寺記」があります。梵鐘には「正徳六年(1716)鈴木清左衛尉国信」の銘があります。■
【メモ】
白鳥山龍勝寺
〒972-8325
いわき市常磐白鳥町勝丘160
電話0246-42-4083(管理/建徳寺)
▼宗派 臨済宗妙心寺派
▼本尊 阿弥陀如来坐像 |
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