閼伽井岳と兄弟の薬師如来像
いわき市は隣から隣、私と縁のある寺院が多いのには驚きました。「かなりの超人だったのでしょう」と寺博士は、にこにこしながら言います。長寿院はかつて堂田山光蔵院といって、大同元年(806)に私が創建したのかどうか不明なのですが、私と述べている書物もあります。
「とにかく、徳一さんに敬意を表します」と寺博士は言って、境内に入りました。参道が思ったより長く感じました。真言宗智山派の寺です。現在の本堂は、高野にあった長寿院を移して再興し、現在の好間山長寿院にしたと言います。過去帳には、安政元年(1854)本堂建立とあります。ここへの本堂の移築は明治初期というので、矛盾はあります。
後は縁起などによって紹介するほかありません。本来の本尊は大日如来ですが、現在の本尊は薬師如来坐像で両側に弘法大師と興教大師が安置されています。薬師信仰が盛んな所なのでしょう。境内に薬師堂があります。こちらは寛政年間(1789~1800)の再建ですから、長寿院が移って来る前からあったのでしょう。堂の周囲の桁には青銅十文・要蔵と書かれた十数枚の寄進札がみられます。これはどこの寺にもありますが、信仰の深さを表わしています。
この薬師堂の薬師如来は坐像で閼伽井岳(あかいだけ)薬師と兄弟と言われて、同じ仏師の作だろうといいます。脇侍として日光・月光両菩薩立像が安置されその両脇に十二神将が並んでいます。堂内の欄間の中央に龍・波、その左右に薄くなった唐獅子に牡丹の絵が見られます。色の修復をしたいものです。かつては絵馬の奉納もたくさんあったらしく、武者絵馬2枚が掛けられています。薬師如来は身体保護の仏様ですから大事にされたのですね。
私は1200年も過ぎた現代の姿には驚いております。今年は雪が深かったので、磐梯に行けませんでした。行きたいものです。
【メモ】好間山長寿院
〒970-1145 福島県いわき市好間町北好間槐作12
電話0246-36-2814
▼宗派 真言宗智山派
▼本尊 薬師如来坐像
▼福島浜通り十二薬師霊場 第2番 |
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