徳一が歩く   忠教寺(38)                                    (財)茨城県郷土文化振興財団





観音堂の天井画

    棟札に「徳一大師草創より444年経」

 いわき市は観音堂の多い所です。今回は平に来ています。昔、いわき市は平市でしたが、市町村合併で名称が変わったそうです。ここに石森観音があり、磐城三十三観音の第23番札所です。ここで榧の大木を切って千手観音を彫り、開山したと縁起にあります。
 この年が大同元年(806)で別当の忠教寺もこの時、開山されたそうです。宝治2年(1248)の堂宇修造棟札に「徳一大師草創より444年経」とあるそうです。今は臨済宗妙心寺派です。観音堂は格天井になっていて素晴らしく思いました。この観音堂は平城の鬼門だそうです。
 応安元年(1368)に鐘楼堂を造立、そのほか岩城氏が修復した記録が書かれています。天和2年(1682)には朝鮮使節の広川が山額「磐城山」を揮毫しています。
 本尊は釈迦牟尼仏で像高57㌢、元禄元年(1688)に領主内藤能登守義孝が寄進したもので、鎌倉時代の作として県指定文化財です。本堂の板襖には「竜雲」「古松」墨絵が描かれています。
 また古文書に「徳一大師は内麻呂恵美押勝の御子也相宗釈徳一南都の住にして、常州筑波山に四十八ヶ所の霊場を建立して奥州会津に下向し、清水寺之観音様を建立す。今恵日寺と号す。この後磐城に移り、三箱湯之岳観音と石森観音を造立する…」とあるそうです。見たかったのですが見られませんでした。
 忠教寺の庭前には県指定天然記念物のカリンの大木があります。樹齢約800年ですから、私は見ていません。木の高さが11㍍、幹囲は3㍍もあります。
 石森の 仏のちかひ おもくして たのむにかろき  人のつみとか
 これが石森観音の御詠歌で、23番目の札所として多くの人々が参拝に訪れます。私の刻んだという像は火災で焼け、面影だけ残っているそうです。

【メモ】
磐城山 忠教寺
〒970-8018
福島県いわき市平四ツ波字石森216
 電話0246-23-3490 
【宗派】臨済宗妙心寺派
【本尊】釈迦牟尼仏
【縁日】陰暦・正月17日、3月17日
磐城三十三観音23番札所/石森観音(千手観音像)


再興された本堂 

鬼門に建つ観音堂 
 
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