
数10年に一度屋根の総葺替えが行われる観音堂
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広い境内に立て込む堂宇
山形県米沢市に来ました。福島から寺博士とずっと一緒です。真言宗豊山派で長命山高徳院笹野寺といいますが、笹野観音で知られています。境内が広く、多くの堂宇があるのには驚きました。「こんなに建物があって管理も大変でしょうね」と二人で話しました。
私がここへ来たのは弘仁元年(810)で開山と言われています。それより前の大同元年(806)に8間4面の観音堂が建立されていたといいます。私の後、真寂が2世で延喜22年(922)に住職をしていたと縁起にあり、その後236年間は不明だそうです。
とにかく、現在の笹野寺を歩き、それを寺博士が解説します。石段もきつく博士は元気がありませんでした。
以前の門が天保11年(1840)に焼けたため、米沢の豪商が明治6年(1873)に南原の常慶院より10両で買い再建されたのが現在の仁王門です。門を入ると、延享2年(1745)に建立された5尺4方の弁天堂があります。また、嘉永3年(1850)には、隣の長巌寺から移築した釈迦堂があり、中風除けの信仰を受ける千体地蔵堂の本尊は「いたび地蔵」といいます。水源を守る石仏の三股不動堂は1坪ほどの小堂ですが皆から信仰されています。
上杉13代の斉憲公が天保14年(1843)に再建した観音堂をはじめ、境内狭しとばかり、多くの仏様が祀ってあり、すべての紹介は無理と寺博士は頭をひねっていました。
やはり天保14年再建の一切経堂には、中国道士の像を安置、建物は再建を待つほどの傷みです。弘法大師堂は昭和59年(1984)に弘法大師霊場の聖地の石を堂内の前に巡らしたといいます。そのほか、大宮子易明神、厳清竜王、雷神堂、大日堂、子育地蔵堂、芭蕉と藩医の句碑が見られます。
摩尼殿(幸徳院本坊)は老朽化から平成3年(1991)に再建され、廃寺になった隣寺の大日如来を本尊として安置、併設の位牌堂は長巌寺の釈迦如来を本尊としています。2つの寺の仏像、建物が合体したから、大きくなったのでしょう。寺を一回りするとゆうに1日はかかります。
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【メモ】長命山高徳院 笹野寺
〒992-1445 山形県米沢市笹野本町5686-5
電話:0238-38-5517
【宗派】真言宗豊山派
【本尊】千手千眼観世音菩薩
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