露座の縁結びの阿弥陀如来像
福島県いわき市平の西にある標高605㍍の閼伽井山に登りました。ここに水晶山玉蔵院常福寺があります。寺博士も同行して一緒に歩きました。
天平6年(734)に大地震があり、人々は疫病にあい、困窮していた時、大和国鷲峰山の源観が、現寺より北西にある剣ケ峰に薬師如来像を安置、祈願して混乱を収めました。
私は大同元年(806)このあたりを行脚しており、その由来を聞いて、現在地に寺を開基したそうです。
阿武隈山系の最東端で全山、樹齢数百年の樹木に覆われていて、その中に伽藍があります。現在の様子は寺博士がまとめています。
寺は度重なる山火事にあい、現在の本堂は昭和8年(1933)に焼失、霊木の檜で昭和17年(1942)に再建、薬師如来と十二神将が安置され、赤井嶽薬師として信仰されています。昭和28年(1953)に本坊、昭和49年(1974)には鐘楼が建立されました。
昭和48年(1973)には不動堂も建立、堂の左右には仁王像が安置され、総檜造りの堂の中には不動明王、大黒天、毘沙門天、清流権現が安置されています。
本堂脇には露座の金銅の阿弥陀如来像が安置され、濡れ仏といい、縁結びの仏様と言われています。多宝塔、奥の院もあります。
寺博士は、「弘法さんのお寺ですね」と私に言いました。四国八十八か所霊場の移しが並んでいます。弘法水は本堂の下にあり、大師の像が安置され、眼病の仏様として信仰されました。
旧参道には、地蔵石仏8体があります。これらは、講中の建立によるものです。そのほか杉の大木や亀の子石も見られます。
「本来、薬師信仰の寺ですが、すべての御利益をかなえてくれる寺です」と、寺博士は感激していました。
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