徳一が歩く   八茎寺 (21)                                              (財)茨城県郷土文化振興財団





頂上近くにある薬師堂

      波立、赤井と合わせ磐城三薬師

 いわき市四倉町を歩いています。健脚でも文明の力のお世話になろうと、寺博士が弱音を吐き、カメラ君の高級車で、八茎寺に行くことにしました。大へんな山道で、途中、カメラ君の車が、エンジンに力なく、徒歩になりました。
 途中八茎嶽瀧不動が祀られているのが眼に入りました。その時、軽自動車で、墓参りにきていた御主人に尋ねると、「とても由緒のある寺で、徳一さんが建てたそうです」と私の名が出ました。
 仏生山が山号で、私は頂上近くに薬師堂を建て、薬王寺が別当寺でした。私が去って、何度か火災にあい、中腹に下り、再建が繰り返され、建武年間(1334~36)に、当時の八茎山常久院八茎寺が別当になりました。現在は真言宗の智山派です。
 表参道から山門を入ると、右に八茎寺本堂があり、享和3年(1803)の建築といわれ、本尊は大日如来坐像で、地蔵菩薩立像も安置されています。
 奥に高い石段があり、寺博士は首をかしげ、相当の疲れです。それでも愛染明王の石仏の写真を撮っていました。やっと、寛保元年(1741)建立の仁王門に到着、仁王像が安置されていました。草鞋はあがっていないので寺博士はがっかりしたようです。
 薬師堂は朱塗で鰐口があり、向拝の龍の彫刻が目立っていました。本尊は薬師如来立像、94㌢で、脇侍の日光・月光菩薩立像が62㌢、それに二天、十二神将、これらは平安初期以来の像造で、私の作といわれ、恐縮しました。この薬師は波立、赤井と合わせ磐城三薬師といい、私が祀ったといいます。
 この一角に日枝神社があり、また常久院と書かれた堂宇もあります。中に弘法さんの像もみられました。ここが法要などに使用するお堂でしょうと寺博士は話していました。堂の前には山門もあり、眺めは絶好でした。





木製一対の仁王像が迎える仁王門
 




薬師堂向拝の龍の彫刻


【メモ】八茎寺
仏生山常光院八茎寺
〒979-0244
福島県いわき市四倉町薬王寺字塙74
電話0246-33-2166
【宗派】真言宗智山派
【本尊】大日如来坐像
<八茎薬師堂>
 本尊 薬師如来立像
TOP BACK   NEXT